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執筆者の写真山崎 広治

「パーパス」で差がつく!企業パフォーマンスと社員エンゲージメントを飛躍的に高める6ステップとは?

1. はじめに

企業が成功するためには、単に製品やサービスを提供するだけでなく、存在意義や目指すべきビジョンを明確に持つことが重要です。この「存在意義」を表す言葉が「パーパス」です。 パーパスとは、企業が「なぜ存在するのか」「何を目指しているのか」を示すものです。ミッションやビジョンと混同されがちですが、パーパスは「なぜその企業が存在し続けるのか」という根本的な問いに対する答えを示します。

特にベンチャー企業にとって、パーパスは単なるスローガンではなく、日々の意思決定や事業の方向性を定める重要な指針となります。創業期においては、資源や人材が限られる中で、パーパスがチームをまとめ、組織全体が同じ目標に向かって進むための「北極星」となり得るのです。 本記事では、パーパスを明確にし、それを実践することがいかにスタートアップやベンチャー、中小企業の成長を加速させ、組織のパフォーマンスを向上させる鍵となるのかについてお伝えをしていきます。



2. 企業におけるパーパスの重要性

スタートアップやベンチャー、中小企業は、大企業と比較して柔軟性やスピードがある一方で、資源や人材が限られるという制約を抱えています。


このような環境では、経営者やリーダーが明確なパーパスを持ち、それを社員と共有することが重要です。パーパスがあることで、日々の業務や意思決定において一貫性が生まれ、組織全体が同じ方向を向くことができるのです。


また、ベンチャー企業では社員が少人数であるため、一人ひとりの役割が非常に重要です。限られたリソースの中で高い成果を出すためには、社員が自分の仕事に対して誇りや意義を感じることが不可欠です。パーパスは、社員が単なる仕事以上の価値を見出し、モチベーション高く働くための強力な原動力となります。


たとえば、ある企業が「環境に優しい製品を提供することで地球の未来を守る」というパーパスを掲げていた場合、社員はただ製品を作るだけでなく、その先にある「地球の未来」という大きな目標に向かって働くことができます。このようなパーパスの存在が、組織全体のモチベーションやパフォーマンスを向上させる要因となるのです。



3. パーパスが社員のエンゲージメントを高める理由

企業の経営者や人事担当者にとって、社員のエンゲージメントを高めることは、長期的な成功のカギにもなります。エンゲージメントの高い社員は、会社の成長に対して積極的に貢献し、業務効率も向上します。このエンゲージメントを高めるために、パーパスは極めて重要な役割を果たします。


社員が仕事に対して意義を感じられると、自発的に高いパフォーマンスを発揮するようになります。特にスタートアップやベンチャー、中小企業では、パーパスが明確であればあるほど、社員は「自分がこの企業で働く理由」を実感しやすくなります。仕事を通じて社会に貢献しているという感覚は、日々のモチベーション維持や自己成長への意欲にもつながります。


実際に、多くの成功した企業では、パーパスを中心にした企業文化が社員のエンゲージメントを高めている事例が多く見られます。たとえば、アメリカのアウトドア用品メーカーのPatagoniaは、“最高の製品を作り、自然を害することなく、ビジネスを通じて環境危機の解決策を考え、実行に移す” というパーパスを掲げており、社員の多くがその理念に共感しています。自発的に行動やチャレンジする社員が増え、その結果、Patagoniaの社員は非常に高いモチベーションとエンゲージメントを持って、長期的に企業に貢献し続けることに寄与しています。


特に社員の数が多くない少数精鋭のスタートアップやベンチャー、中小企業だからこそ、パーパスを明確にし、それを社内に浸透させることで、社員のエンゲージメントを高め、企業の成長を後押しすることが可能になるのです。



4. パーパスの明確化プロセス

パーパスを明確にするためには、単に経営者やリーダーが一方的に決めるのではなく、社員とともに深く考え、議論するプロセスが不可欠です。ここでは、企業がパーパスをどのように見出し、明確化していくべきか、その具体的なステップを紹介します。

【STEP.1 】競合分析と業界トレンドの研究

企業のパーパスを際立たせるためには、競合他社のパーパスや業界トレンドを調査することが重要です。このプロセスには、以下のステップが含まれます。

  • 競合他社のパーパス調査:主要な競合企業の公式ウェブサイトやプレスリリースを調査し、それぞれのパーパスや企業理念を確認します。どのようなメッセージが発信されているかを分析することで、自社がどのように差別化できるかを考えます。

  • 業界トレンドの把握:業界内での最新の動向や顧客ニーズを把握するために、市場調査や顧客インタビューを実施します。特に、若い世代がどのような価値観を持っているかを理解することで、パーパスがより共感を得やすくなります。

  • 差別化ポイントの特定:競合他社のパーパスと自社の特徴を比較し、明確な差別化ポイントを見つけます。この差別化がパーパスの基盤となり、競争優位性を高めることに寄与します。



【STEP.2】創業者やリーダーによるディスカッション

企業のパーパスを明確にするためには、まず創業者やリーダーが集まり、自社の理念や価値観を再確認することが不可欠です。このようなディスカッションを通じて、創業者やリーダーは企業の核となる理念を明確にし、パーパスを形作るための基礎を築きます。このディスカッションでは、以下のポイントに焦点を当てます。

  • 過去の経験やビジョン:創業者自身の経験や、自社を立ち上げた当初のビジョンを振り返り、その背景にある思いや理念を共有します。

  • 社会的な意義:企業が社会にどのように貢献できるのか、あるいは解決すべき課題は何かを討議します。これにより、単なる利益追求から社会的な目的へと視点をシフトさせます。

  • 長期的な目標:企業として今後5年、10年の長期的な成長目標を考慮し、パーパスがその達成にどう寄与するかを検討します。


【STEP.2 】社内アンケートの実施

社内アンケートを通じて、全社員の意見を集めることも効果的です。

  • アンケート設計:パーパスに関する質問を盛り込んだアンケートを設計します。例えば、社員が自社の価値観にどの程度共感しているか、またはどのような社会的な意義を感じているかなどを問います。


  • 結果の分析:アンケート結果を集計し、傾向や共通点を見つけ出します。特に強い意見や多数派の意見をピックアップし、パーパス策定の参考にします。


  • フォローアップ:アンケート結果について社員にフィードバックを行い、どのようにパーパスに反映させるかを説明します。このプロセスを通じて、従業員のエンゲージメントを高めます。


【STEP.3 】社員を巻き込んだワークショップ

次に、従業員を巻き込んだワークショップを開催し、パーパスの策定プロセスを共創します。社員の声を反映させることで、パーパスはより具体的で、組織全体に浸透しやすくなります。

  • グループディスカッション:小グループに分かれて、自社の強みや価値観について意見交換を行います。社員が感じている企業の良い点や改善点を共有することで、パーパスに対する多様な視点を取り入れます。

  • アイデアの収集と整理:各グループが出したアイデアをホワイトボードや付箋を使って視覚化し、重要なテーマを見つけ出します。これにより、全体の意見を俯瞰することができ、パーパスに関連する共通点やトレンドを明らかにします。

  • フィードバックの実施:ワークショップの最後には、参加者全員からのフィードバックを受ける時間を設けます。これにより、提案されたパーパスに対する反応を即座に得ることができ、最終的な内容に反映させることができます。


【STEP.4 】ビジョンステートメントの策定

パーパスは企業のビジョンと密接に関連しているため、ビジョンステートメントの策定も大変効果的です。

  • 未来像の描写:会社的に5年後、10年後にどのような企業でありたいかを描写します。この未来像が、パーパスを強化する基盤となります。


  • 共通の目標設定:社員が共感しやすい目標を設定し、それに基づいてパーパスを策定します。ビジョンとパーパスの整合性が高まることで、組織全体の方向性が明確になります。


  • コミュニケーションの重要性:策定したビジョンステートメントは、社内外にしっかりとコミュニケーションを行い、全員が理解し、共感できるようにします。



【STEP.5 】パーパスの実施とコミュニケーション

パーパスがある程度明確になったら、試験的に社内外でコミュニケーションを行い、反応を確認します。

  • 試験的な発表:社内ミーティングやニュースレターを通じて、新しいパーパスを紹介します。社員からの意見を収集し、必要な修正を加えます。


  • ステークホルダーからのフィードバック:パートナー企業や顧客など、外部のステークホルダーにも試験的にパーパスを提示し、反応を伺います。これにより、広範な視点からの意見を得ることができます。


  • 改善点の反映:収集したフィードバックをもとに、パーパスをさらに洗練させ、最終的な形を整えます。これにより、パーパスがより多くの人々に響くものになります。


これらのステップを通じて、企業のパーパスは単なるスローガンではなく、組織全体の方向性を示す重要な指針として機能するようになります。具体的な行動指針や意思決定においても、パーパスが強力な基盤となるかと思います。




5. パーパスを日常業務に組み込む方法

パーパスが明確になったら、それを企業の日常業務に反映させることが重要です。パーパスが単なる理念や言葉だけに終わらず、実際の業務に活かされることで、企業文化として根付きます。

5-1. 採用と人事評価にパーパスを反映させる

パーパスを実現するためには、パーパスに共感し、それを推進する人材を採用することが重要です。採用プロセスの中で、候補者が企業のパーパスにどの程度共感しているかを確認する質問を組み込むことで、企業の価値観と一致した人材を見つけやすくなります。

さらに、社員の評価制度においても、パーパスの実現に向けた貢献度を重視することが効果的です。評価基準にパーパスを組み込むことで、社員が日常的にパーパスを意識しながら働く習慣を築くことができます。

5-2. パーパスを共有するコミュニケーションの場を作る

定期的にパーパスを再確認する場を設けることも重要です。例えば、月次の全社ミーティングや社内報でパーパスに関連した成功事例や課題を共有することで、社員全員がパーパスを再認識し、日々の業務にどう活かせるかを考える機会を提供します。




6. 実際の成功事例:パーパスを活かしたベンチャー企業

ここでは、実際にパーパスを明確にし、それを活かして成功したベンチャー企業の具体的な事例を紹介します。これらの企業は、単に製品やサービスを提供するだけでなく、存在意義を明確にし、それを社内外に伝えることで、顧客の信頼を得るとともに従業員のエンゲージメントを高め、持続的な成長を実現しています。

事例1. サステナビリティを掲げたD2C企業

あるD2C(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)企業は、創業当初から「持続可能な未来のために、人々に選択肢を提供する」というパーパスを掲げ、エコフレンドリーな製品を提供しています。パーパスに基づいた製品開発を行うだけでなく、製品の販売やマーケティングにおいてもそのパーパスを前面に出しています。例えば、製品の素材や製造プロセスに透明性を持たせ、サステナビリティへの取り組みを公開することで、エコ意識の高い顧客からの支持を集めました。

このように、パーパスを明確に打ち出すことで、顧客に対して「この企業は自分たちと同じ価値観を共有している」という信頼感を与え、他社との差別化を図ることができました。また、社員も「地球環境を守る」という共通の目的を持って働いているため、業務に対する誇りや使命感が高まり、企業の成長に大きく貢献しています。


6-2. 教育系ベンチャーのケース

別の教育系ベンチャー企業では、「すべての子供たちに平等な教育機会を提供する」というパーパスを掲げています。この企業は、教育格差を埋めることを目標に、オンライン教育プラットフォームを展開していますが、その背後には「全ての子供が平等に学べる社会を実現したい」という強いパーパスがあります。

このパーパスは、社員のモチベーションを高めるだけでなく、企業のビジネスパートナーや投資家からの支持も集めました。単に利益を追求するのではなく、社会的課題の解決を目指しているため、長期的な成長を見込んだ投資が集まりやすくなったのです。


7. パーパスを企業文化に根付かせるために

パーパスを掲げるだけではなく、実際に企業文化として根付かせるためのプロセスが重要です。特にスタートアップやベンチャー、中小企業においては、パーパスを日々の業務に取り入れ、それを組織全体で共有するための取り組みができるか、できないかでその後の社内での浸透率や実行率も大きく変わります。

7-1. パーパスを共有する仕組みづくり

社内でパーパスを共有するための仕組みを作ることが、文化の醸成に大きな影響を与えます。例えば、新入社員のオンボーディングプログラムでパーパスを中心に据え、企業が何を目指しているのか、なぜ存在しているのかを徹底的に共有することが大切です。また、全社ミーティングやチーム会議でも、パーパスに関連する事例を紹介し、日々の業務とパーパスがどうつながっているかを明確に伝える機会を設けましょう。

7-2. パーパスを軸にした意思決定

経営層やマネージャーがパーパスを軸に意思決定を行う姿勢を見せることも重要です。例えば、新しいプロジェクトやサービスを開始する際に、パーパスに照らしてその取り組みが適切かどうかを判断することは、企業全体の一貫性を保つ上で不可欠です。社員は、経営者やリーダーがパーパスに基づいて行動している姿を見ることで、より一層そのパーパスに共感し、自分の業務にも反映させようとするようになります。


8. まとめ

パーパスの明確化は、単なる企業理念の策定ではありません。

それは、特にスタートアップやベンチャー、中小企業が限られたリソースの中で持続的な成長を遂げ、競争力を高め、社員がやりがいを感じながら働ける環境を作り出していくためには、「北極星」となる明確なパーパスは重要な役割を果たします。

パーパスが社員のモチベーションを高め、企業全体のパフォーマンスを向上させ、顧客や社会からの信頼を勝ち取ることができれば、業界内でも確固たる地位を築き、より強化していくことに繋がるかもしれません。 経営者や人事・総務担当者は、自社のパーパスを改めて見直し、それを企業の成長戦略に組み込むことをぜひ検討してみてください。パーパスが明確であれば、それは単なる言葉以上の力を持ち、企業全体の成功を後押しする強力なツールとなるでしょう。


今こそ、企業としての存在意義を再確認し、明確なパーパスを掲げて未来に向けた一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか?




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